ビジネスシーンにもある“ドレスコード” 英国紳士のおしゃれに学ぼう

ビジネスシーンにもある“ドレスコード” 英国紳士のおしゃれに学ぼう

ビジネスマンのユニフォームと言えば、スーツ。スーツは、日本語で背広とも言いますが、これはロンドンにある仕立て屋街「Savile Row(サヴィル・ロー)」が語源になっているという説があります。スーツの原型は、19世紀のイギリスで、モーニングコートの裾を切り落とした上着として生まれました。当初は部屋着や野外用の服でしたが、やがてアメリカでビジネスウェアとして普及したと言われています。正統派のスーツは、スリーピーススーツ。現在、主流のツーピーススーツは、その簡略版です。

もともとはイギリスの貴族の気軽な装いとして生まれたスーツ。現在はカジュアル化が進んでいるとはいえ、ビジネスシーンでは、それなりの“ドレスコード”も求められます。ロンドン在住のイメージコンサルタント・小畠利子さんに、本場ロンドンの最新の装いのマナーを伺いました。


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基本は紺かダークグレー 茶色はファーマーの色?!

「オフィス通勤する場合は、スーツ着用が通例です。ただ、最近では週5日のスーツ着用を強要しない会社も多く、顧客と直接面会しない場合は、週の一日、または毎日でも『スマートカジュアル』というドレスコードを認める企業は少なくありません。スーツ着用の場合、ジャケットはダブルでなくシングル、そして2つボタンまたは3つボタンが一般的です。最近はある程度、体にフィットしたスリムカットが普及しています。また同じブランドでも英国、欧州では、米国よりもスリムなカットのものを多く揃えて販売しています」

お堅いイメージの金融業も、いまではスマートカジュアルを導入しているところが多いそうですが、スーツ着用の場合は、「紺かダークグレーのスーツが望まれます。ストライプ地もOKですが、英国の弁護士がよく着用する太い縞は、小柄な日本人負けてしまいがちなので要注意です。シャツは白や無地でなくても良いのですが、薄めの色におさえます。靴やベルトは黒。今は茶やタン色の靴も流行っていますし、ドレスダウンのときに着用するのは結構ですが、固い職業であればあるほど、黒で揃えないと軽く見られ、“ジュニア”レベルの人に勘違いされても仕方ありません。茶色はファーマー(お百姓さん)の色だと、以前、イギリス人の同僚が言っていたことを思い出します」

おしゃれの差が出るのは、スマートカジュアル

一方、最近ふえている、会社が認めるスマートカジュアルは、「襟付きのシャツでないといけない」とか、「ブルージーンズはダメ」など、最低のルールは共通するものの、それ以外のことは各企業によって異なり、個人の感覚に任せていることも多いそう。そのため、小畠さんのイメージコンサルティングを受ける男性は年々ふえ、そのうち9割は、スーツではなく、『スマートカジュアル』の着方を教えてほしい、と相談するのだそうです。スーツ着用でなくてもおしゃれな装いができるか、というのは、ビジネスにおいても重要になってきているのですね。


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身だしなみのよさは靴に現れる??

おしゃれな装いに負けず劣らず大事なのは、「身だしなみ」。小畠さんに面白いエピソードを教えてもらったので、ご紹介しましょう。

「身だしなみの大切さを知っている人は、自分の足に合った靴を履き、定期的に靴磨きやかかとの修理をしながら長く大切に履いています。10年以上前、私が銀行員だった当時は、靴磨きのおじさんが毎週、行内にやってきて、皆の靴を磨いていました。グループ長は部下10名の靴磨き代を毎週、自腹を切って払っていました。電話を片手に為替の取引をしながら、足だけ出して靴を磨いてもらっている同僚の姿はなんだか偉そう、とは思いましたが、おじさんは全然気にせず。当時は一人£1(175円)でしたが、今は平均£4(700円)。さすがに今は、上司が部下の分まで支払うことはないかもしれませんね」


小畠 利子(イメージコンサルタント、Talking Image代表、https://talkingimage.co.uk/

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