英国王室御用達ブランドはさまざまな分野に及びますが、もちろんジュエリーの分野にもあります。その一つがGarrard。ウイリアム王子がキャサリン妃に婚約指輪として贈ったサファイアのリングは故ダイアナ妃の婚約指輪だったものですが、こちらを製作したのが世界でも最も古いジュエリーブランドのひとつといわれるGarrardです。
1735年創業とされるGarrardは、それまでも英国御用達でありましたが、1843年ヴィクトリア女王により戴冠用宝飾品を作るクラウンジュエラーに指定され、現在のエリザベス二世に至るまで歴代英国王の王冠を製作、補修しています。
その他にもロンドン塔に保管されている世界最大のダイヤモンドがついた王杖や宝珠、王冠などの伝説の宝飾品の管理を任されているのもGarrardです。ロンドン塔のジュエルハウスは私たちも入って見学することが出来ますので、ロンドンに行かれた際にはぜひ立ち寄ってみてくださいね。
Garrad本店は、Albemarle Streetアルベマールストリートにあり、一般の人々もジュエリーを購入することが出来ます。近年ではミック・ジャガーの娘ジェイド・ジャガーをクリエイティブ・ディレクターとして迎え、ウィングのシリーズなどを発表していました。
私が見つけたのが、Garrard製オパールのクレッセントブローチ。オリジナルケースには、TO THE KING, TO THE CROWNとあるので、ヴィクトリア女王の時代のあとのエドワード7世時代(1901~1910)のものと思われます。ヴィクトリアン中期からエドワーディアンと呼ばれるこの時代には天文学が発展し、クレッセントやスターバーストといったデザインが流行しました。
さすがにオパールは小さな粒まで美しく、赤い光(ファイア)が見られます。その隙間には極小ながらも光の強いローズカットダイヤモンドが埋め込まれており、オパールが月の不思議な色のようなら、チカチカっと光るダイヤは夜空の星を連想させるポエティックで素晴らしいブローチでした。
世界最古といわれるジュエラーですから、まれにGarrardのアンティークジュエリーに出会えることもあるのです。そんな幸運に恵まれると、アンティークはやめられませんね(笑)!知れば知るほど物の価値や意味が分かってくる推理小説のような面白さが、アンティークにはあります。
Photo&Text:
ジュエリースタイリスト、Antiques Violetta取締役。
青山 櫻