暮らしで楽しむ英国バラ図鑑⑥ ~ロサ・フィリップス・キフツゲート~

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Rosa filipes ‘Kiftsgate’ ロサ・フィリップス・キフツゲート(Sp)


今年も6月の中旬からフランスとイギリスへ行き、庭園巡りをして参りました。イギリスでは、ロンドンより西北にあたるコッツウォルズ地方の有名なガーデン「キフツゲート」でも、さまざまな植物に混じってバラが満開に咲いていました。日本でも少し遅れて満開になる「ポールズ・ヒマラヤン・ムスク」もすでに満開で百花繚乱の風景を楽しむことが出来ました。この状態なら、「あのバラも見ることが出来るかもしれない」と、キフツゲートの奥の方にあるローズガーデンのコーナーへ足早に行ってみると、「残念・・・、やはり・・・まだほんの少ししか咲いていない・・・」

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そのバラは、1930年に現在の御当主アン・チェンバースさんの祖母ヘザー・ミュアーさんによって、この「キフツゲート」に植えられ、1940年に「キフツゲート」に、滞在したバラのエキスパート、故グラハム・トーマス氏によってオリジナルな品種であることが発見され、命名された「ロサ・フィリップス・キフツゲート」です。「The Kiftsgate Rose」の愛称でも親しまれています。

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今回でキフツゲートを訪れたのは4回目になりますが、いつも見るのは同じ状態です。大株に育った伸びやかな枝の先に、日本のノイバラに似た花を少しだけ咲かせ、無数の蕾が房になり「咲いたら見事だろうな・・・」と、いつも思ってはキフツゲートを後にします。今回もいつもと同じパターンで「あのバラが満開になる頃には、他のバラがもう終わっている頃だから仕方ない」と、自分に言い聞かせ、バスに乗り込みました。

そして、無事、行程通り庭園巡りが終了し、最後のフリータイムの日に、ガーデン好きの何人かの皆さんと列車に乗ってロンドンの南西にある「キューガーデン」へ向かいました。「キューガーデン」は、英国王立植物園として、かつてさまざまな国々からプラントハンターたちが持ち帰った植物の子孫を保存し、育成している植物園です。世界遺産でもあり、ヴィクトリア朝時代の富と権力を誇った英国万国博の象徴「クリスタルパレス」の見本「パームハウス」等の温室を有します。その「キューガーデン」のスペシャル・ガーデンズの一部、「ローズ・パーゴラ」のコーナーに、なんと「ロサ・フィリップス・キフツゲート」のバラが満開に咲いていたのです。


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一房がまるで大きな葡萄のような大房咲き、房の重みで下に枝垂れ、大変美しい光景を最後にプレゼントしてくれました。確かに、枝垂れる房を利用したパーゴラ仕立てがこのバラには合っていますね。旺盛に枝を伸ばしますので、広いパーゴラ要しますが、そういった場所を埋めるバラをお探しの方には、ぜひ、お薦めの一品種です。でも、いつかは、本家「キフツゲート」で、このバラが満開に咲く姿を見たいものです。

文&写真: 元木はるみ(日本ローズライフコーディネーター協会代表、https://www001.upp.so-net.ne.jp/jrlc/

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