9月28日(土)『エセルとアーネスト ふたりの物語』岩波ホールほか全国順次公開

9月28日(土)『エセルとアーネスト ふたりの物語』岩波ホールほか全国順次公開

リンボウ先生こと林望氏(作家・国文学者)にご登壇いただいた9月11日(水)のアフタートークイベント付き試写会実施レポートをご紹介いたします。

■登壇ゲスト:林望さん(作家・国文学者)
1949 年 東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程満期退学。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。1984 年から87 年にかけて、日本古典籍の書誌学的調査研究のためイギリスに滞在、その時の経験を綴ったエッセイ『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91 年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞し、作家デビュー。『イギリスは愉快だ』(平凡社・文春文庫)、『ホルムヘッドの謎』(文芸春秋)と並ぶイギリス三部作はいずれもベストセラーとなって、イギリスブームの火付け役となった。エッセイ、小説のほか、歌曲の詩作、能評論等も多数手がける。2004 年、レイモンド・ブリッグズ作品『おぢさん The Man』(小学館)を翻訳。

「実写よりもリアルなアニメーション」

当日、参加者とともに映画を鑑賞し、これでみるのは3度目になるという林さん。改めて映画の感想をきかれると「一度目は何気なくみてしまったが、2度目は細かいディテールをみて、3度目になると更にそれまで気付かなかったことに気づいた。本当に隅々にまで気配りのきいた素晴らしい映画でした。」と語った。

林望さんは、原作者 レイモンド・ブリッグズとの関わりも深く、以前ブリッグズ作品「おぢさん」を翻訳している。「イギリスというと“ガーデニング”や“アフタヌーンティー” スノビッシュなものばかりですが、それはイギリスの本当の一面にしか過ぎないんです。ブリッグズが描いているのは“普通の人の普通の生活”です。映画『エセルとアーネスト』もごく普通の夫婦の物語。今まであまり描かれてこなかったごく普通の庶民を丹念に描写するブリッグズ作品を「多くの人にとってのごくごく普通の生活、その中に真実の人生があるんじゃないか」と語った。

映画については「実写よりもリアルなアニメーション」とその魅力を語った。また、エセルとアーネストが暮らす家や周辺の様子、英語の発音などの細かな描写に「このアニメーションはそういう一つひとつのディテールを決してなおざりにしないで、どれほどの手間をかけてつくっただろうと思う。」と感心しきりだった。また、映画にナレーションがないことに注目し「全ての進行や時の推移を「もの」で伝えている」と語った。

最後に、本作の魅力を「これこそが本当の“文学”なのだと思っています。本当の文学というのは何の変哲もない日常の中に宿っている、という。そういうメッセージがあるように思います。僕はこの作品を素晴らしい現代文学だと思います。」とトークを締めくくった。

物語)激動の時代を懸命に生きた、ごく普通の夫婦の40年にわたる心あたたまる本当の物語。
1928年ロンドン。楽天的で陽気な牛乳配達のアーネストと生真面目で働き者のメイドのエセルが恋に落ち、結婚。最愛の息子レイモンドが誕生する。やがて第二次世界大戦は激しさを増し、夫婦はレイモンドを疎開させなければならなくなる……。戦時の困難を乗り越え、戦後の発展と時代の変化を生き、そして静かに忍び寄る老い・・・しかしいつもエセルの横にはアーネストがいた。

https://child-film.com/ethelandernest/

9月28日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
© Ethel & Ernest Productions Limited, Melusine Productions S.A., The British Film Institute and Ffilm Cymru Wales CBC 2016
≪作品データ≫
監督:ロジャー・メインウッド
原作:レイモンド・ブリッグズ(バベルプレス刊)
音楽:カール・デイヴィス
エンディング曲:ポール・マッカートニー
声の出演:ブレンダ・ブレッシン/ジム・ブロードベント/ルーク・トレッダウェイ
原題:Ethel & Ernest
2016年/94分/カラー/ドルビー・デジタル/ヴィスタサイズ/イギリス・ルクセンブルク/
日本語字幕:斎藤敦子
後援:ブリティッシュ・カウンシル
配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ

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